35人もの命が犠牲になった京都の火災事故。お亡くなりになられました方々には謹んでご冥福をお祈り申し上げますと共に、ご遺族の皆様には心よりお悔やみ申し上げます。またお怪我をされた方々に関しましては、一日も早いご回復を心よりお祈り申上げます。
未曾有の大火災となってしまった今回の事件、犯人がガソリンを撒いて火をつけるという暴挙に出たわけですから、通常の火災とは訳が違います。こんな悪質な放火はそうそう起きることではありません。しかし、火災の危険性はどんな建物でも少なからずあります。今回の事件を”特別なケース”で終わらせず、建物の関係者が、日々の防災意識を高めていく必要があるのではないでしょうか。
火災の原因:第1位は放火
というのも、総務省が発表している平成29年版の『消防白書』によれば、火災の出火原因の第1位は「放火」です。意外かもしれませんが、平成28年度のデータを見ると、出火件数36,831件のうち3,586件は放火によって発生しており「放火の疑い」まで含めると全体の15.8%(5,814件)にのぼります。平成30年版では、僅差で「たばこ」が上回っていますが、最も多い出火原因の1つに放火があることは間違いありません。
今すぐ確認してほしい3つのこと
そして、今回のような痛ましい火災事故が起こると、自宅マンションやオフィスの防火体制がどうなっているか気になる人も多いのではないでしょうか。今朝も弊社の営業担当にヒアリングをしたところ、やはり避難訓練の相談・問い合わせが増えているようです。人の命と建物を火災から守るため、私たちも防災会社として全力でサポートさせていただきたいと思っております。そこで、建物の防火管理者の方はもちろん、関係者の方に最低限、確認しておいてほしいことがあります。
①防火扉・シャッターの前にモノを置いてないか?
マンションでもオフィスでも、防火扉や・防火シャッターの前にモノが置かれていたりしないでしょうか? ここにモノが置いてあると、防火扉が作動しなかったり、シャッターが閉まらなかったりして火災の拡大の原因となってしまいます。また、避難経路に可燃物が置いてあると、火が燃え広がって避難できなかった…という悲劇が過去に何度も起きています。
本来なら助かるはずだった命が、こうした不備によって失われることがあってはいけません。これらの防火扉・シャッターに関しては、2016年に建築基準法が改正され「防火設備定期検査報告制度」が定められており、年に1回、防火設備検査員や一級建築士・二級建築士の有資格者による検査が義務付けられています。閉鎖の障害となるモノの放置状況を含め、設備が正常に動くかどうかも点検を行い、管轄の自治体に報告を行いましょう。
②半年ごとに建物の消防設備点検を行っているか?
多くの建物(防火対象物)では、消防法によって定められた年2回の消防設備点検が必要となります。こちらも消防設備士をはじめとした有資格者による点検が必要であり、管轄の消防署への報告が義務付けられています。できれば実際に使用することがないように気をつけたいものですが、先の放火などのように、万が一の場合に備えて設備が正常に動くかどうかは確認しておく必要があります(※詳しくはコチラをご参照ください)。
③定期的に避難訓練を実施しているか?
実際に火災が起こった時、どのような経路で避難すればいいかは、日頃から”知っておく”必要があります。定期的な避難訓練(消防訓練)の中で、避難経路を自分の目で確かめ、実際に通ってみたり、防火扉、防火シャッターの場所を確認する…といったことを、訓練の中で体験しておかなければ、実際に火災が起こった時、人は適切な行動が取れないものです。
たとえば、実際に火災に遭遇してしまった時、避難するのにビニール袋が役立ったりします。ビニール袋を口にあてて、袋の中で呼吸をすることで、一酸化炭素などの有毒ガスを吸うことなく、数分間は持ちこたえることができます。消費者庁の消費者安全調査委員会の調べによれば、住宅火災で亡くなる人の4割は一酸化炭素中毒が原因だということです。こうした役立つ知恵を、避難訓練・消防訓練の中で学ぶことも大切ではないでしょうか。
人の命と建物を火災から守ろう
寿防災工業では、ビルやマンションの管理を防災面(設備メンテナンスや消防訓練など)でサポートさせていただいております。設備の定期点検はもちろん、避難訓練も「具体的に何をどうすればいいのか分からない…」といったお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。私たちが全力でサポートさせていただきます。