弊社は建物の消防設備点検をはじめ、防災関係の仕事をマルっと(ワンストップで)ご依頼いただくことが多いです。自社スタッフが素早く点検から改修工事まで行えますので、その機動力や仕事の丁寧さをご評価いただき、多くの福岡のビルマネジメント会社様と年2回の定期点検契約を結んでおります。

ただ、規模や経緯によっては建物のオーナー様から直接ご依頼・ご相談いただくことも結構あります。貸ビル業の経営者様福岡に自社ビルを構えている会社の社長様(or 総務部長)など…いわゆる「ビル経営」をされているお客様ですね。そのため、今後こちらでビル経営…特に「中小オフィスビル経営」に役立つ情報を配信してみたいと思います。

弊社のお客様をはじめ、ビル経営者の方々にお役立ちできればと思ってテスト的に始めてみます。防災設備会社ならではの視点も提供できればと思いますので、よろしければ参考にしてみてくださいね。

貸ビル業は単なる「投資」なのか?

さて、アパートやマンション、それからオフィスビル…こうした「貸ビル」は、昔から投資、節税、相続財産として関心が高く、資産管理、資産運用の色合いが強いです。ところが、いざビルオーナーになってみると様々な悩みが出てきますよね。それは、貸ビルが株式など他の投資対象と違って不動産という「現物」だからでしょう

土地・建物という現物があり、そこにテナントとして「人」が入居しているわけですから…現実問題として、机上の分析・計算だけでは済みません。その人たちへの対応が必要となります。貸ビルは、そこに入居する人たちに暮らしの場、ビジネスの場を提供する「対価」として賃料をもらっている…それが貸ビル業の本質ですから。

10年後も選ばれるオフィスビルの条件

ビルの経営者が「貸ビル業で安定して利益を出したい」「将来できるだけ高く売りたい」と思っているのに、ビルを単なる投資対象として考えていなければ…残念ながら長期的には”選ばれないビル”となってしまう可能性は高いでしょう。

たとえば、人の命と建物を火災から守る消防設備のメンテナンスを「所詮は書類仕事だ」と言って、安かろう悪かろうの会社に依頼するオーナー様も残念ながらいらっしゃいます。そうした方は当然、清掃や警備、エレベーターなど他のビルメンテナンスに関わるコストはどんどん削減しようとします。こうしたテナントを軽視する姿勢で、ただただコスト削減して目先の利益を求める経営をしていたら、10年後はいったいどうなっているでしょうか?

特にオフィスビルにおいては、昨今の新型コロナウイルスの影響により「オフィス不要論」も浮上し、オフィスを解約する企業も増えています。事実、2020年以降、オフィスの空室率は上がっています。福岡のビジネス地区で言えば、平均空室率は2019年が2.09%だったのに対し、2020年末には3.79%と2倍近くになっています

こうしたご時世でも、テナント側の企業から選んでいただくためには「貸ビル業=単なる投資」というそこに介在する”人”を無視した発想では難しいでしょう。競合する他の物件と比較された時、選ばれないビルとなってしまいます。一方で、テナント企業に快適なビジネス環境を提供し、業績を伸ばしてもらうことができれば、賃料交渉だって可能になります。だとしたら…

「貸ビル業=サービス業」である

ビル経営は単なる投資ではなく、貸ビル業という事業(サービス業)を行う気持ちで取組むことが、結果として今後も安定した利益を生み出すことを可能にすると思いませんか?机上の分析・計算だけでなく、貸ビル業における商品=ビルの現場で、いかにテナントとして入居してくれているお客様に快適なビジネスの場を提供するか。それがビルオーナー側の売上である賃料に影響します。

貸ビル業に限らず、事業はお客様の支持があって初めて長期的に成り立ちます。貸ビル業では、お客様であるテナントからの支持があって賃料を安定して得られます。売却する時も、より高く売れます。もう昔のような「貸してやっている」という発想では借り手が見つからなくなっていくでしょう。

そうではなく、お客様であるテナント企業にサービスを提供し、業績をサポートすることでWin-Winの関係を築いていく…そんなビル経営者が選ばれる時代になっているように思います。ビル経営とは単なる投資ではなく、テナントに価値を提供するサービス業である。そんな気持ちで接してみることが大切なように思います。

―寿防災工業 安永周平―

追伸:
次回は、ビル経営の課題に対応する時、忘れてはならない「軸」について配信します。